「愛しきベイルート/アラブの歌姫」を観る
2007年 02月 06日
「愛しきベイルート」とは、中東アラブの偉大な歌姫、ファイルーズの代表的な1987年の大ヒット曲の題名でもあるそうです。祖国への深い愛情の伝わるこの曲は、いまもアラブの人々の中では一番といっていいほど歌われ、聴かれているそうです。
この作品はそのファイルーズを愛するベイルートの人々が15年の内戦の悲劇を語ったドキュメンタリー作品です。
この作品と出会えたのは、試写会マニアならではの日々の‘検索’三昧の結果。
創立20周年を迎えた、UPLINKでは音楽ドキュメンタリーを集めた映画祭を開催中。
とても興味深い内容に‘マウス’が止まりました。
この作品も4年も前のオランダ作品。ここで繋らなかったら知らないで済んじゃう、私には接点がないものでした。
大体ドキュメンタリーの映画作品ははよっぽど興味深い内容でないとキビしい、というのが私の見解なんです、絶対映画館で寝ない私が、唯一眠っちゃったのが音楽絡みのドキュメンタリー作品(すみません)でした。
しかし、中東の内戦耐えないベイルートで、国民的歌手がいつ命を落とすかわからないのが当たり前の日常で、海外にでることもせず、国内に留まり続けた事、そしていまも皆が愛して止まないのだ、と言う事に心挽かれたのです。
私は(広くは日本教育は)、イスラムや中東のことをあまり学ぶ機会が少なすぎる、と思います。高校や大学で専攻した方は知識があるでしょうが、一般的に義務教育の期間、中東に関する知識は「いつも戦いをしているところ」という認識で、少なくとも私の義務教育期間に社会科を教えてくれた先生が、詳しく補足をしてくれた記憶はない。
(同じことはお隣の朝鮮半島についても言える。)
我が家は無宗教・・・と言ってもいいほどの普通の一般家庭で、宗教についてとやかく教育された覚えはないし、学校でも前述の通り大したことはなかったので、今の中東に対するイメージや意識はTV等の報道により植えつけられた部分が多大であると言ってもいいと思うのです。
その刷り込まれたイメージと歌姫の話はどうしても合致しなくて、本当のベイルートを観てみたかったんです。たとえドキュメンタリーでも映画だ、と判っていても。
ファイルーズとは芸名で、アラビア語で「トルコ石」という意味だそう。1935年生・本名はナハード・ハッダード、ちょっと意外とも思ってしまったのですが、キリスト教徒だそうです。
とても美しい人で、若い時のブロマイド(と思う)はちょっと浅岡ルリ子さんに似てました。
でも、そうかと思うと、エリザベス・テイラーみたいな妖艶さもあり、本当に惚れ惚れする人でした。
私は音楽には造詣が深くないのですが、彼女の歌声は日本の演歌のようにちょっと“こぶし”があって、アラブの曲はコーランの様に独特な音階でした。(なんか沖縄民謡みたい)とても気持ちのいい女性アルト(でいいのかな)で、ふわ~と気分が軽くなる。
地元では朝のラジオで必ずかかるのは彼女の歌。皆彼女の歌で目覚め、彼女の歌で休息し、彼女の歌でまどろみ休む。(ランニングマシーンも彼女の曲で走っちゃう。)
街中の老若男女、右も左も、上も下も、皆なにかにつけ、癒しとして聞くのは彼女の歌。
そして悲しいことに、様々な抗争に巻き込まれた思い出も彼女の歌と共に記憶がある。
勿論、楽しい思い出にも憧れの彼女がいる。
戦う彼らは語る。
我々は国の為に戦ってきた、と。自分の利己主義の為でなく大儀の為に戦って来た、と。
牢獄に捕らわれ音のない世界へ世間からの隔絶後、初めに求めた音はファイルーズの曲。人を殺し、爆撃し、その手は血に染まっているであろう彼の求めたモノはファイルーズ。
どんな状況でも、どの立場のどの人も、本来自分の国を愛しているが故に争い、ゆえに現状を理解し、同じように祖国を愛し続ける歌姫の歌に涙する。
昔はそれはそれは美しい国で、中東のパリと云われ、人々は隣近所、宗教なんて関係なく仲良くしたのだそうです。
今は、大学に進学して誰がどこの出身で宗教がなんなのかが一番の気がかりという、若い世代に危惧し、狭い視野を持って欲しくないと涙する、母の姿にこちらも胸を打たれました。
正直、映画を観ただけでは、中東の現状なんて把握出来てないと思います。が、人はどの国でも必死に生きている事実を知り、今の日本の不安定さも考えると、観て良かった作品でした。
さて、余談ですが。
日ごろあまり接点のないベイルートの日常生活も興味深いものが。
(弾痕だらけの)マンションのテラスの手すりの外側にカーテン掛けるのですね、あっちて。なんでしからね、暑いからか?日本でよく、カラス避けにネットのカーテンみたいなの欠けてるベランダを見かけますが、あんな風で、あっちは布地カーテンでした。
個人的には、埃が入らずいいなーと思いました。
またベイルートの女性は美人が多かった。
いろんな国の交流が盛んだった歴史があるからか、金髪・黒髪いろいろで、造作が整っている人が多かった。老けても綺麗。
そしてとってもビックリしたのは、老人が語るシーンで、その人は髪は真っ白な銀髪、でも眉は黒毛で、瞳がグレーかかったキャメルだったこと。
私事ですが、・・・父にそっくり。びっくり。。
「愛しきベイルート/アラブの歌姫」@映画生活
この作品はそのファイルーズを愛するベイルートの人々が15年の内戦の悲劇を語ったドキュメンタリー作品です。
この作品と出会えたのは、試写会マニアならではの日々の‘検索’三昧の結果。
創立20周年を迎えた、UPLINKでは音楽ドキュメンタリーを集めた映画祭を開催中。
とても興味深い内容に‘マウス’が止まりました。
この作品も4年も前のオランダ作品。ここで繋らなかったら知らないで済んじゃう、私には接点がないものでした。
大体ドキュメンタリーの映画作品ははよっぽど興味深い内容でないとキビしい、というのが私の見解なんです、絶対映画館で寝ない私が、唯一眠っちゃったのが音楽絡みのドキュメンタリー作品(すみません)でした。
しかし、中東の内戦耐えないベイルートで、国民的歌手がいつ命を落とすかわからないのが当たり前の日常で、海外にでることもせず、国内に留まり続けた事、そしていまも皆が愛して止まないのだ、と言う事に心挽かれたのです。
私は(広くは日本教育は)、イスラムや中東のことをあまり学ぶ機会が少なすぎる、と思います。高校や大学で専攻した方は知識があるでしょうが、一般的に義務教育の期間、中東に関する知識は「いつも戦いをしているところ」という認識で、少なくとも私の義務教育期間に社会科を教えてくれた先生が、詳しく補足をしてくれた記憶はない。
(同じことはお隣の朝鮮半島についても言える。)
我が家は無宗教・・・と言ってもいいほどの普通の一般家庭で、宗教についてとやかく教育された覚えはないし、学校でも前述の通り大したことはなかったので、今の中東に対するイメージや意識はTV等の報道により植えつけられた部分が多大であると言ってもいいと思うのです。
その刷り込まれたイメージと歌姫の話はどうしても合致しなくて、本当のベイルートを観てみたかったんです。たとえドキュメンタリーでも映画だ、と判っていても。
ファイルーズとは芸名で、アラビア語で「トルコ石」という意味だそう。1935年生・本名はナハード・ハッダード、ちょっと意外とも思ってしまったのですが、キリスト教徒だそうです。
とても美しい人で、若い時のブロマイド(と思う)はちょっと浅岡ルリ子さんに似てました。
でも、そうかと思うと、エリザベス・テイラーみたいな妖艶さもあり、本当に惚れ惚れする人でした。
私は音楽には造詣が深くないのですが、彼女の歌声は日本の演歌のようにちょっと“こぶし”があって、アラブの曲はコーランの様に独特な音階でした。(なんか沖縄民謡みたい)とても気持ちのいい女性アルト(でいいのかな)で、ふわ~と気分が軽くなる。
地元では朝のラジオで必ずかかるのは彼女の歌。皆彼女の歌で目覚め、彼女の歌で休息し、彼女の歌でまどろみ休む。(ランニングマシーンも彼女の曲で走っちゃう。)
街中の老若男女、右も左も、上も下も、皆なにかにつけ、癒しとして聞くのは彼女の歌。
そして悲しいことに、様々な抗争に巻き込まれた思い出も彼女の歌と共に記憶がある。
勿論、楽しい思い出にも憧れの彼女がいる。
戦う彼らは語る。
我々は国の為に戦ってきた、と。自分の利己主義の為でなく大儀の為に戦って来た、と。
牢獄に捕らわれ音のない世界へ世間からの隔絶後、初めに求めた音はファイルーズの曲。人を殺し、爆撃し、その手は血に染まっているであろう彼の求めたモノはファイルーズ。
どんな状況でも、どの立場のどの人も、本来自分の国を愛しているが故に争い、ゆえに現状を理解し、同じように祖国を愛し続ける歌姫の歌に涙する。
昔はそれはそれは美しい国で、中東のパリと云われ、人々は隣近所、宗教なんて関係なく仲良くしたのだそうです。
今は、大学に進学して誰がどこの出身で宗教がなんなのかが一番の気がかりという、若い世代に危惧し、狭い視野を持って欲しくないと涙する、母の姿にこちらも胸を打たれました。
正直、映画を観ただけでは、中東の現状なんて把握出来てないと思います。が、人はどの国でも必死に生きている事実を知り、今の日本の不安定さも考えると、観て良かった作品でした。
さて、余談ですが。
日ごろあまり接点のないベイルートの日常生活も興味深いものが。
(弾痕だらけの)マンションのテラスの手すりの外側にカーテン掛けるのですね、あっちて。なんでしからね、暑いからか?日本でよく、カラス避けにネットのカーテンみたいなの欠けてるベランダを見かけますが、あんな風で、あっちは布地カーテンでした。
個人的には、埃が入らずいいなーと思いました。
またベイルートの女性は美人が多かった。
いろんな国の交流が盛んだった歴史があるからか、金髪・黒髪いろいろで、造作が整っている人が多かった。老けても綺麗。
そしてとってもビックリしたのは、老人が語るシーンで、その人は髪は真っ白な銀髪、でも眉は黒毛で、瞳がグレーかかったキャメルだったこと。
私事ですが、・・・父にそっくり。びっくり。。
「愛しきベイルート/アラブの歌姫」@映画生活
by bijomaru0330am | 2007-02-06 23:45 | 映画鑑賞