「イントゥ・ザ・ワイルド」を観る
2008年 08月 22日
監督がショーン・ペン。これだけで魅力は感じていた。実話のベストセラー「荒野へ」の映画化、「イントゥ・ザ・ワイルド」を観てきました。いいもの観たな、と思っています。
私は‘試写会マニア’なので当たれば大概の試写に出かけるが、仕事もあるし体調も(今はこれが一番ネック)あるしで、どうしても観損ねる作品もある。
この「イントゥ・ザ・ワイルド」が正にそうなろうとしていた作品。実は先に一度当たっていたのに行けなかった。が、再び当たったのだ。
「作品が私を呼んでいる。」という勝手な妄想が沸く時がある。実は「観てた方がいいんだな。」と言うような作品は、再度当たる事がある。そうしてみた作品は好みとは別に作品として秀逸なモノが多い。
尺(148分)も長く、内容も娯楽的内容ではないので、観るのに若干の抵抗を感じていたが、助演男優でハル・ホルブルックが08年度アカデミー賞にノミネート、音楽で08年度ゴールデン・グローブ賞&グラミー賞・受賞は、伊達ではなく見応えのある作品でした。
↓ここからややネタバレあり。原作を読んだ方はお分かりかと。
クリス・マッカンドレス(エミール・ハッシュ)は優秀な成績で大学を卒業した。誇らしげに見つめる両親。卒業を祝うレストランに集うマッカンドレス家にいまひとつ噛み合わない空気が漂う。年頃の息子・娘がある一般的な家庭にあるものなのか。
彼は決めていた。ずっと前から。真理を求めて。誰にも言わず旅立つのだ、アラスカへ。
クレジットカードやお金は勿論、何もかも(IDカードや名前さえも)捨てて、クリスはバックパッカーとなりヒッチハイクを繰り返す。若者が一時今ある現状から飛び出したくて無謀とも思える旅に出るのに似てはいる、がそうではない。若者がもつ大人社会への嫌悪感や大人への成長時期に持つ焦燥感にも似ているが、そうでない。
クリスは繊細だった。大人(少なくともクリスより)の私には独善的で我侭とも感じた。
しかし、もっと違う病的な何かに支配されていた様に思えた、宗教的なものではなく、クリスの中の「怒りのような」もの、それに突き動かされて彼は進む。
初めは若干親へのあてつけやエゴに感じたその行動は、ヒッチハイクや旅先での出会いによって徐々に変わっていった様に思う。最期には怒りから解き放たれ、愛の重要性に気づいた様にも思えた。
お金という金は全て俗世のモノと、捨て去ったクリスだが、途中小麦の大農場で働く。
そこのオーナー、ウェインがいい奴だった。世間的にはどうか判らないが‘迷える若者’にこんな風に接していけたら素敵だな、と思う。ウェイン役はヴィンス・ヴォーン。個人的は好みでない俳優だが、上手いしこの役処にぴったりなイメージだった。
↓ここから先鑑賞予定の方はパスで。
私は原作本をしらない。なので、結末は想像出来ても知らなかった。
自業自得に感じた最期であったが、「帰れ!たとえ手足がもげてなくなったとしても、なんとしても帰れ!そして、これまで自分に与えて貰った愛に、恩に報いろ。幸福を誰かと分かち合え。」と、心の中で叫んでいた。
希望通りに荒野に消えた。本望だったろう。
しかし私は言いたい。
生い立ちが何だ!両親が何だ!生きていくのは自分だ!でも、だからといって粗末にしていい人生なんてない。・・・彼の生き方は粗末にしたとはあまり感じなかったが勿体無い、と思った。
こんなに丈夫に産んでもらえたのに、こんなに運よく危険なバクチの様な旅が成立したのに。しかしながら神はだからこそ、彼の命の蝋燭を短くしたのかもしれない、とも思った。
ぁぁ、若人とはなんと愚かで脆く、しかしエネルギッシュで扱いづらいのだろう。
実話のこれはクリスと私はほぼ同い年。私が彼の歳の時、どんなだったろうか。
さすがに各賞受賞、音楽がいい。染みます。
海を舞うカモメ、大地を走る馬、砂漠の山、美しいです。
そして、冬のアラスカは恐ろしいです。
「イントゥ・ザ・ワイルド」@映画生活
私は‘試写会マニア’なので当たれば大概の試写に出かけるが、仕事もあるし体調も(今はこれが一番ネック)あるしで、どうしても観損ねる作品もある。
この「イントゥ・ザ・ワイルド」が正にそうなろうとしていた作品。実は先に一度当たっていたのに行けなかった。が、再び当たったのだ。
「作品が私を呼んでいる。」という勝手な妄想が沸く時がある。実は「観てた方がいいんだな。」と言うような作品は、再度当たる事がある。そうしてみた作品は好みとは別に作品として秀逸なモノが多い。
尺(148分)も長く、内容も娯楽的内容ではないので、観るのに若干の抵抗を感じていたが、助演男優でハル・ホルブルックが08年度アカデミー賞にノミネート、音楽で08年度ゴールデン・グローブ賞&グラミー賞・受賞は、伊達ではなく見応えのある作品でした。
↓ここからややネタバレあり。原作を読んだ方はお分かりかと。
クリス・マッカンドレス(エミール・ハッシュ)は優秀な成績で大学を卒業した。誇らしげに見つめる両親。卒業を祝うレストランに集うマッカンドレス家にいまひとつ噛み合わない空気が漂う。年頃の息子・娘がある一般的な家庭にあるものなのか。
彼は決めていた。ずっと前から。真理を求めて。誰にも言わず旅立つのだ、アラスカへ。
クレジットカードやお金は勿論、何もかも(IDカードや名前さえも)捨てて、クリスはバックパッカーとなりヒッチハイクを繰り返す。若者が一時今ある現状から飛び出したくて無謀とも思える旅に出るのに似てはいる、がそうではない。若者がもつ大人社会への嫌悪感や大人への成長時期に持つ焦燥感にも似ているが、そうでない。
クリスは繊細だった。大人(少なくともクリスより)の私には独善的で我侭とも感じた。
しかし、もっと違う病的な何かに支配されていた様に思えた、宗教的なものではなく、クリスの中の「怒りのような」もの、それに突き動かされて彼は進む。
初めは若干親へのあてつけやエゴに感じたその行動は、ヒッチハイクや旅先での出会いによって徐々に変わっていった様に思う。最期には怒りから解き放たれ、愛の重要性に気づいた様にも思えた。
お金という金は全て俗世のモノと、捨て去ったクリスだが、途中小麦の大農場で働く。
そこのオーナー、ウェインがいい奴だった。世間的にはどうか判らないが‘迷える若者’にこんな風に接していけたら素敵だな、と思う。ウェイン役はヴィンス・ヴォーン。個人的は好みでない俳優だが、上手いしこの役処にぴったりなイメージだった。
↓ここから先鑑賞予定の方はパスで。
私は原作本をしらない。なので、結末は想像出来ても知らなかった。
自業自得に感じた最期であったが、「帰れ!たとえ手足がもげてなくなったとしても、なんとしても帰れ!そして、これまで自分に与えて貰った愛に、恩に報いろ。幸福を誰かと分かち合え。」と、心の中で叫んでいた。
希望通りに荒野に消えた。本望だったろう。
しかし私は言いたい。
生い立ちが何だ!両親が何だ!生きていくのは自分だ!でも、だからといって粗末にしていい人生なんてない。・・・彼の生き方は粗末にしたとはあまり感じなかったが勿体無い、と思った。
こんなに丈夫に産んでもらえたのに、こんなに運よく危険なバクチの様な旅が成立したのに。しかしながら神はだからこそ、彼の命の蝋燭を短くしたのかもしれない、とも思った。
ぁぁ、若人とはなんと愚かで脆く、しかしエネルギッシュで扱いづらいのだろう。
実話のこれはクリスと私はほぼ同い年。私が彼の歳の時、どんなだったろうか。
さすがに各賞受賞、音楽がいい。染みます。
海を舞うカモメ、大地を走る馬、砂漠の山、美しいです。
そして、冬のアラスカは恐ろしいです。
「イントゥ・ザ・ワイルド」@映画生活
by bijomaru0330am | 2008-08-22 23:45 | 試写会