「魔使いの呪い」「魔使いの秘密」を読む
2008年 05月 04日
ワーナーで映画化されそうな、ジョゼフ・ディレイニー著「The Spook's・・・」シリーズ。
先日、1巻目の「魔使いの弟子」を読み、その魅力にすっかり取り付かれてしまった私。
一気に2巻、3巻と続編を完読しました。
まだまだ続編が年内に国内出版(イギリスではもう4巻目が出ている!)されそうで、今から待ちきれません。今年は「ハリー」シリーズの最終巻も7月にやっと日本語訳本が出るし、もう英国児童文学は花盛りですね。
今回も訳者あとがきから引用させて頂きますと、現題の「The Spook's・・・」の“Spook”は直訳すると、「変人」「幽霊」となるそうです。素人の私が考えても文章や内容からして、主人公のトムも師匠のグレゴリーじいさんも幽霊なんかじゃないし、ましてや変人でもない。そこで、訳者は「魔使い」という造語を作った(のではないでしょうか)。訳者曰く、「辞書にはのっていない」そうだ。私は、こういった訳者のひらめきというか、語彙の多さ・広さ・アイデアには毎回どの訳本でも感服しています。原文を何のイメージも損なうこともなく、魅力的に読者にひきつける能力は素晴らしい!そんな事も間違いなく私の様な語学力のない読者を本に引き寄せる要因でしょう。
さて、まず2巻「魔使いの呪い」。
主人公トムが師匠のグレゴリーについて魔使い修行に勤しみ6ケ月。まだまだ半人前ではあるものの、全盛期を過ぎた老齢期に入りつつある師匠は体調を崩しがち。独りでやっかいなボガードと戦う場面から話は始まる。
のっけから息もつけない展開です。
1巻目で魔使いがどんなに忌み嫌われる職業か分かりましたが、その仕事ぶりは他の様々な仕事となんら変わらない(実際はかなりキツいと思う!)修練・計画・手順実行(with下請け業者、みたいな)なんです。この字面で書くと「建築現場」みたいなことが、それはそれは綿密で繊細で緊張を伴って、恐ろしくって、手に汗握る・・・ボガード退治!
この巻では、師匠のグレゴリーの過去が垣間みれ、彼の兄弟が登場、彼の人となりが徐々に分かります。またトムの両親の馴れ初め、トムがなんでこんなに魔使いにぴったりな人間なのか?お母さんがどうやら・・・な事も話の内容から“臭って”きます。
師匠がなんでもかんでも完璧な人ではなく、というか、かなり人間的な人で紆余曲折があって今の仕事をしていることが分かり、トムは師匠の過去について興味津々(お年頃だから)また訝しげに、しかし尊敬の念で受け止めています。
「魔使いでも人の子」「人は必ず年をとる」こういった事をトムは学び感じ成長していくのですが、自分でも気づいていない(徐々に気づいている?)トムはやはり‘特別な少年’だという事が読み手により印象つけられます。
そして3巻「魔使いの秘密」。
1巻で登場した魔女の娘アリス。未熟な‘魔女’故に2巻目でもトムを助け(困らせもし)、闇と光の境をゆれ続けているのですか、この巻ではトムの中ではっきりと彼女は大切な存在となってきました。魔女は基本、そのほとんどが魔使いの「敵」。ですが、グレゴリーにとってもトムにとってもその存在はひとことでは片付けられないものだったのです。
この巻では「冬の家」という陰気な土地の別宅(魔使いは用途に応じてあちこちに家がある)に行く事になります。そこにはグレゴリーの秘密が。またトムには悲しい出来事も。
師匠が生死の境を彷徨う様な事が続き、トムは練習も、ましてや助言もない状態で何度も危険な状況に陥りますが、トム自身の持つ不思議な判断力でどうするのか・・・
この巻はよりセンチメンタルな部分もあったりして人間が(特に魔使いは孤独)独りでは生きていけない性である、と感じたりもします。
2巻と3巻は続いている印象が濃い話で、続けて読むっきゃない!感じでした。
ダークなオカルトチックな「誰かがやらなくちゃならない事」もますますパワーアップしています。
展開的に、ここで一息つけますが、話はどんどん続くようで、これが映画化されると「ハリーポッター」並みに続編が作られる事でしょう、売れちゃったらスゴいことになっちゃいそう!
師匠・グレゴリー役、トム役、アリス役、トムの母さん役はもうずっと出なくてはならないわけで、一足先に映画化公開された「ライラの冒険」の様に話が終わっていないところがミソです。
誰が演るのか、トム。アリスは?(東洋系でもOKかと。)
第4巻は「The Spook's Battle」(仮題:「魔使いの戦い」)。
年内に出る!?かな、翻訳頑張って下さい、待ってます!
先日、1巻目の「魔使いの弟子」を読み、その魅力にすっかり取り付かれてしまった私。
一気に2巻、3巻と続編を完読しました。
まだまだ続編が年内に国内出版(イギリスではもう4巻目が出ている!)されそうで、今から待ちきれません。今年は「ハリー」シリーズの最終巻も7月にやっと日本語訳本が出るし、もう英国児童文学は花盛りですね。
今回も訳者あとがきから引用させて頂きますと、現題の「The Spook's・・・」の“Spook”は直訳すると、「変人」「幽霊」となるそうです。素人の私が考えても文章や内容からして、主人公のトムも師匠のグレゴリーじいさんも幽霊なんかじゃないし、ましてや変人でもない。そこで、訳者は「魔使い」という造語を作った(のではないでしょうか)。訳者曰く、「辞書にはのっていない」そうだ。私は、こういった訳者のひらめきというか、語彙の多さ・広さ・アイデアには毎回どの訳本でも感服しています。原文を何のイメージも損なうこともなく、魅力的に読者にひきつける能力は素晴らしい!そんな事も間違いなく私の様な語学力のない読者を本に引き寄せる要因でしょう。
さて、まず2巻「魔使いの呪い」。
主人公トムが師匠のグレゴリーについて魔使い修行に勤しみ6ケ月。まだまだ半人前ではあるものの、全盛期を過ぎた老齢期に入りつつある師匠は体調を崩しがち。独りでやっかいなボガードと戦う場面から話は始まる。
のっけから息もつけない展開です。
1巻目で魔使いがどんなに忌み嫌われる職業か分かりましたが、その仕事ぶりは他の様々な仕事となんら変わらない(実際はかなりキツいと思う!)修練・計画・手順実行(with下請け業者、みたいな)なんです。この字面で書くと「建築現場」みたいなことが、それはそれは綿密で繊細で緊張を伴って、恐ろしくって、手に汗握る・・・ボガード退治!
この巻では、師匠のグレゴリーの過去が垣間みれ、彼の兄弟が登場、彼の人となりが徐々に分かります。またトムの両親の馴れ初め、トムがなんでこんなに魔使いにぴったりな人間なのか?お母さんがどうやら・・・な事も話の内容から“臭って”きます。
師匠がなんでもかんでも完璧な人ではなく、というか、かなり人間的な人で紆余曲折があって今の仕事をしていることが分かり、トムは師匠の過去について興味津々(お年頃だから)また訝しげに、しかし尊敬の念で受け止めています。
「魔使いでも人の子」「人は必ず年をとる」こういった事をトムは学び感じ成長していくのですが、自分でも気づいていない(徐々に気づいている?)トムはやはり‘特別な少年’だという事が読み手により印象つけられます。
そして3巻「魔使いの秘密」。
1巻で登場した魔女の娘アリス。未熟な‘魔女’故に2巻目でもトムを助け(困らせもし)、闇と光の境をゆれ続けているのですか、この巻ではトムの中ではっきりと彼女は大切な存在となってきました。魔女は基本、そのほとんどが魔使いの「敵」。ですが、グレゴリーにとってもトムにとってもその存在はひとことでは片付けられないものだったのです。
この巻では「冬の家」という陰気な土地の別宅(魔使いは用途に応じてあちこちに家がある)に行く事になります。そこにはグレゴリーの秘密が。またトムには悲しい出来事も。
師匠が生死の境を彷徨う様な事が続き、トムは練習も、ましてや助言もない状態で何度も危険な状況に陥りますが、トム自身の持つ不思議な判断力でどうするのか・・・
この巻はよりセンチメンタルな部分もあったりして人間が(特に魔使いは孤独)独りでは生きていけない性である、と感じたりもします。
2巻と3巻は続いている印象が濃い話で、続けて読むっきゃない!感じでした。
ダークなオカルトチックな「誰かがやらなくちゃならない事」もますますパワーアップしています。
展開的に、ここで一息つけますが、話はどんどん続くようで、これが映画化されると「ハリーポッター」並みに続編が作られる事でしょう、売れちゃったらスゴいことになっちゃいそう!
師匠・グレゴリー役、トム役、アリス役、トムの母さん役はもうずっと出なくてはならないわけで、一足先に映画化公開された「ライラの冒険」の様に話が終わっていないところがミソです。
誰が演るのか、トム。アリスは?(東洋系でもOKかと。)
第4巻は「The Spook's Battle」(仮題:「魔使いの戦い」)。
年内に出る!?かな、翻訳頑張って下さい、待ってます!
by bijomaru0330am | 2008-05-04 23:45 | シネマ与太話