「テラビシアにかける橋」を観る
2008年 01月 25日
キャサリン・パターソンが著したこの作品の原作は、全世界で500万部も発行され、アメリカでは学校の授業でも教材として扱れるらしい。「テラビシアにかける橋」を観てきました。
キャサリン女史が自分の息子に実際に起きたことを元に書いたと言われるだけに、時代や国が違っても、現実にありそうな話で、尚且つファンタジー溢れる映像の、児童文学では最近まれに見る秀作と思います。
「現実にある話」なので、ありふれた題材にも思えます。学校生活における子供の仲間はずれ(イジメとは書きたくないですね)問題。裕福ではない少年と個性溢れる転校生の女の子。二人が空想で作り出した王国テラビシアはディズニーらしい夢の国です。
(でもちょっとしたギャグもあり笑える)
「こんなの絵空事じゃん。」と思う人は永遠に解さない内容なので、観なくてよし。
(ぁ厳しい?)
↓ここからシタバレあり。、+貴方なりの空想を膨らまして下さい。
ジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)の家は7人家族。5人姉弟妹の真ん中で、上も下も女の子に挟まれている。赤ちゃんが生まれたばかりのせいもあるけど、お母さんは家事と家計のやりくりでイライラ、父さんもまだ手のかかるすぐ下の妹メイベルには優しいけど、男のジェスには用事ばかり言いつけて、ジェスは孤独を感じてる。靴だってお下がり(しかもお姉ちゃんのオンナ物!)だし、そんな家庭の状況を見透かした様に学校ではイジメにあう。そこへ、転校生レスリー(アナソフィア・ロブ)がやってきた。ちょっと変わった女の子で、ジェスが唯一自信の持てる駆けっこで、誰よりも走るのが早かった。
ジェスを取り巻く現実は、かなりシビアです。ちょっと年上の二人のお姉ちゃんは年頃で、何かっちゃキャーキャーお互い意地をはるし、色気づいた発言でジェスを不愉快にする。
「お姉ちゃん」って生き物はどうしてああも‘エラそう’に一席ぶつのかね、自分がヤラれたら物凄い勢いで親に言いつけるくせにね。(←by実体験)
小学校低学年くらいの妹のメイベル(ベイリー・マディソン)は“くっつきたがり”で、すぐにじゃれついてくる(これも同級生に馬鹿にされる要因ね)。
「妹」って生き物もなんでああも‘甘ったれ’で他力本願なのかね、すぐに泣くし年下の特権(武器)ですぐ親に取り入るしね。(←by・・・自分)
男同士で、お父さんと話したくってもお金のことばかりしか頭にないみたいで、親にも諦め気味なジェス。
ちょっとしたジェスのしぐさや視線で、ジェスが置かれている家族内のポジションが見えてきます。だから・・・学校でもちょっとくたびれているっていうか、冷めているっていうか、やる気ナイ。音楽のエドマンズ先生(ズーイー・デシャネル)は密かに大好きだけど(このあたり正直でカワイイ)。
ジェス役のジョシュ君、最近めっきり大人しいベン・アフレックの小さい時はこんなかな、ってかんじで、将来楽しみの俳優さんです。
そして転校生レスリーはあの「チャリチョコ」の生意気ガム少女のアナソフィアちゃん。面差しがキーラ・ナイトレイっぽいこちらもかなり有望株の少女です。
レスリーは、担任先生からのTV視聴感想文の宿題に、「我が家にはTVがありません(TV観るとアタマ悪くなると親がいうから)。」とはっきりの言っちゃう。→いっきにイジメの対象ね、当確(苦笑)。ジェスは内心「うわわ~(マズイよ)。」って思ってるけど、「うわわ~(変わってる・・・勇気ある!)。」とも思ってて、家が近所だって事もあって次第に心を開いていくのね。レスリーははじめっからどんな人にも先入観持たないしねー。それで秘密の場所に空想の世界を思い描いて遊ぶわけ。
森(雑木林?)の入り口にちょっとした小川があって、それをターザンみたいにロープで乗り越え駆け出す。全力疾走で。気持ちよさそ~うです。私は走るのが大好きな子供だったので、羨ましくなりました。(最近「坐骨神経痛」で左足が痺れているのです・・・トホホTT)どんどん競争しながら走って走って、体も心も開放させ、そして眼を閉じて心の瞳開いて・・・子供らしい空想の秘密の国「テラビジア」を思いめぐらせるのです。
字面にすると、平凡で面白みのない内容(く~文才がないのう)に思えるのですが、時にハツラツと時に「ぷっ」と笑え、何より映像が綺麗です。
ターザンみたいにビュ~ンって小川を乗り越える時の感じも「ブランコがんがん漕いで、視線が空と平行になる」感じね、気持ちヨイよねぇ(ちょっとアブナイけど)。
はじめは消極的なジェスもだんだんレスリーのペースに。二人の気持ちがいいハーモニーを奏でだすと学校生活にも当然(と、思うのは私が大人だからね)変化が現れます。学校で女番長を気取るジョイスに立ち向かったり、同じクラスのいじめっこ男子を軽くいなしたり。それが「テラビシア」でもそのまま「敵」をやっつけることになったりします。
それでも家庭内の淀んだ空気は時にジェスを苦しめます。遊びに行ったレスリーの家庭は両親とも作家で(裕福みたいで)、一人っ子のレスリーは独特な家庭で育ったものの愛を(時間もお金も)たっぷり注がれた様に見えるんだもの。
そんな時に実は画を書くのが好きで上手なジェスに大好きなエドマンズ先生が誉めてくれたりもして、だんだんジェスも自分で善悪を考える(親や人のいいなりにならない)様になります。レスリーと遊ぶことが大好きだってことも、父さんの高圧的な態度にちょっと反抗しようと思ったことも、・・・それから、急なお出かけをする事にした(これは観てのお楽しみ)ことも。
ジェスはどんなふうに成長してどんな風に答えを出すのでしょうか。
レスリーはジェスに、ジェスはレスリーに何を与えたのでしょうか。
いっつもジェスを見つめている、「お兄ちゃん大好き」なメイベルちゃんのお兄ちゃん思いで、こまっしゃくれなところがまた涙を誘う名演技でした。
現実の世界に、大人の世界に疲れたら、もう一度あの時の心に戻れるこの作品は今の時代に必要な何かがいっぱい詰まった作品だと思いました。
「テラビシアにかける橋」@映画生活
キャサリン女史が自分の息子に実際に起きたことを元に書いたと言われるだけに、時代や国が違っても、現実にありそうな話で、尚且つファンタジー溢れる映像の、児童文学では最近まれに見る秀作と思います。
「現実にある話」なので、ありふれた題材にも思えます。学校生活における子供の仲間はずれ(イジメとは書きたくないですね)問題。裕福ではない少年と個性溢れる転校生の女の子。二人が空想で作り出した王国テラビシアはディズニーらしい夢の国です。
(でもちょっとしたギャグもあり笑える)
「こんなの絵空事じゃん。」と思う人は永遠に解さない内容なので、観なくてよし。
(ぁ厳しい?)
↓ここからシタバレあり。、+貴方なりの空想を膨らまして下さい。
ジェス(ジョシュ・ハッチャーソン)の家は7人家族。5人姉弟妹の真ん中で、上も下も女の子に挟まれている。赤ちゃんが生まれたばかりのせいもあるけど、お母さんは家事と家計のやりくりでイライラ、父さんもまだ手のかかるすぐ下の妹メイベルには優しいけど、男のジェスには用事ばかり言いつけて、ジェスは孤独を感じてる。靴だってお下がり(しかもお姉ちゃんのオンナ物!)だし、そんな家庭の状況を見透かした様に学校ではイジメにあう。そこへ、転校生レスリー(アナソフィア・ロブ)がやってきた。ちょっと変わった女の子で、ジェスが唯一自信の持てる駆けっこで、誰よりも走るのが早かった。
ジェスを取り巻く現実は、かなりシビアです。ちょっと年上の二人のお姉ちゃんは年頃で、何かっちゃキャーキャーお互い意地をはるし、色気づいた発言でジェスを不愉快にする。
「お姉ちゃん」って生き物はどうしてああも‘エラそう’に一席ぶつのかね、自分がヤラれたら物凄い勢いで親に言いつけるくせにね。(←by実体験)
小学校低学年くらいの妹のメイベル(ベイリー・マディソン)は“くっつきたがり”で、すぐにじゃれついてくる(これも同級生に馬鹿にされる要因ね)。
「妹」って生き物もなんでああも‘甘ったれ’で他力本願なのかね、すぐに泣くし年下の特権(武器)ですぐ親に取り入るしね。(←by・・・自分)
男同士で、お父さんと話したくってもお金のことばかりしか頭にないみたいで、親にも諦め気味なジェス。
ちょっとしたジェスのしぐさや視線で、ジェスが置かれている家族内のポジションが見えてきます。だから・・・学校でもちょっとくたびれているっていうか、冷めているっていうか、やる気ナイ。音楽のエドマンズ先生(ズーイー・デシャネル)は密かに大好きだけど(このあたり正直でカワイイ)。
ジェス役のジョシュ君、最近めっきり大人しいベン・アフレックの小さい時はこんなかな、ってかんじで、将来楽しみの俳優さんです。
そして転校生レスリーはあの「チャリチョコ」の生意気ガム少女のアナソフィアちゃん。面差しがキーラ・ナイトレイっぽいこちらもかなり有望株の少女です。
レスリーは、担任先生からのTV視聴感想文の宿題に、「我が家にはTVがありません(TV観るとアタマ悪くなると親がいうから)。」とはっきりの言っちゃう。→いっきにイジメの対象ね、当確(苦笑)。ジェスは内心「うわわ~(マズイよ)。」って思ってるけど、「うわわ~(変わってる・・・勇気ある!)。」とも思ってて、家が近所だって事もあって次第に心を開いていくのね。レスリーははじめっからどんな人にも先入観持たないしねー。それで秘密の場所に空想の世界を思い描いて遊ぶわけ。
森(雑木林?)の入り口にちょっとした小川があって、それをターザンみたいにロープで乗り越え駆け出す。全力疾走で。気持ちよさそ~うです。私は走るのが大好きな子供だったので、羨ましくなりました。(最近「坐骨神経痛」で左足が痺れているのです・・・トホホTT)どんどん競争しながら走って走って、体も心も開放させ、そして眼を閉じて心の瞳開いて・・・子供らしい空想の秘密の国「テラビジア」を思いめぐらせるのです。
字面にすると、平凡で面白みのない内容(く~文才がないのう)に思えるのですが、時にハツラツと時に「ぷっ」と笑え、何より映像が綺麗です。
ターザンみたいにビュ~ンって小川を乗り越える時の感じも「ブランコがんがん漕いで、視線が空と平行になる」感じね、気持ちヨイよねぇ(ちょっとアブナイけど)。
はじめは消極的なジェスもだんだんレスリーのペースに。二人の気持ちがいいハーモニーを奏でだすと学校生活にも当然(と、思うのは私が大人だからね)変化が現れます。学校で女番長を気取るジョイスに立ち向かったり、同じクラスのいじめっこ男子を軽くいなしたり。それが「テラビシア」でもそのまま「敵」をやっつけることになったりします。
それでも家庭内の淀んだ空気は時にジェスを苦しめます。遊びに行ったレスリーの家庭は両親とも作家で(裕福みたいで)、一人っ子のレスリーは独特な家庭で育ったものの愛を(時間もお金も)たっぷり注がれた様に見えるんだもの。
そんな時に実は画を書くのが好きで上手なジェスに大好きなエドマンズ先生が誉めてくれたりもして、だんだんジェスも自分で善悪を考える(親や人のいいなりにならない)様になります。レスリーと遊ぶことが大好きだってことも、父さんの高圧的な態度にちょっと反抗しようと思ったことも、・・・それから、急なお出かけをする事にした(これは観てのお楽しみ)ことも。
ジェスはどんなふうに成長してどんな風に答えを出すのでしょうか。
レスリーはジェスに、ジェスはレスリーに何を与えたのでしょうか。
いっつもジェスを見つめている、「お兄ちゃん大好き」なメイベルちゃんのお兄ちゃん思いで、こまっしゃくれなところがまた涙を誘う名演技でした。
現実の世界に、大人の世界に疲れたら、もう一度あの時の心に戻れるこの作品は今の時代に必要な何かがいっぱい詰まった作品だと思いました。
「テラビシアにかける橋」@映画生活
by bijomaru0330am | 2008-01-25 23:45 | 試写会