「グッド・シェパード」を観る
2007年 08月 12日
この時期東京では恒例になってきた『GTFトーキョーシネマショー2007』最期を締めくくる作品、「グッド・シェパード」を観てきました。
最近来日したロバート・デ・ニーロ(彼の名前を聞くだけで若干緊張するー)が、監督兼出演し、「10年暖めた」という入魂作品は、ここ最近“いわゆる娯楽作品”ばかりを観てきた私には、ちょっと脳みそがついていくのが大変な長編(167分!)社会派作品はでした。
↓ここからネタばれあり。
エドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は名門イェール大学卒の秀才。アメリカで政治への影響力甚大といわれる、「スカル・アンド・ボーン」のメンバーで、その冷静沈着、頭脳明晰、何よりも鉄仮面の如く無表情なポーカー・フェイスで軍の諜報機関で働く。アメリカ国家の為に‘忠実な羊’の如く、任務を遂行する姿は抜きん出ており、各方面に一目おかれる。妻のマーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)はそれは美しく、傍目には順風満帆なエリート人生、・・・それには大きな犠牲が伴っているのだ。
エドワードの19歳から41歳までの20数年間をマット・デイモンが好熱演!デニーロが当初検討していた、ディカプリオより配役として良かったのでは?
エドワードがレオ様だったら、もっと憂いを感じる演技をした、と思うので(あくまで私見)、マットのエドワードは冷静冷酷な中にもどこか何かもどかしい苦悩の様子で、このストーリーに合っていたように感じました。
とにかくちょっと込み入った内容で、一瞬たりとも気が抜けないー。
主役のマットは勿論、準主役や重要な役に(って全員)芸達者な俳優さんばかり。で、この芸達者’sがほぼ皆さん諜報部員な訳で、その真意が読み取りにくい表情&隠語に比喩、例えの会話、意図を読み取るのは仲々難しい(字幕追うのに精一杯。)。
話はアメリカ裏史ともいわれ、主人公のエドワードは架空の人だそうですが、JFK事件などで活躍したCIA幹部ジェームズ・アングルトンがモデルになっていらしいです。
CIA(話のほとんどはその前身組織)そしてFBIも出てきます。大きな組織が絡んだ国と国との裏の描き合いは、静かな‘画’の中にも緊張が漂います。時に「どっちがどっちのスパイしてるの?」と思うほどですが、それは「007」の様な派手なものでなく、あくまで情報収集と心理戦。
「誘惑とご褒美」そして「弱み」。
劇中、よく出るこの言葉に‘一流大学卒のロマンチスト’(なんだそう、諜報部員って)の迷いや苦悩、自己愛等が良く現れており、終盤に行くにつれ、「あの人はどっちなのか、この人はどう思っているのかどうするのか」と、引き込まれていきます。
私はそれ程詳しくないのですが、アメリカ近代史の中でも第二次世界大戦時の米英の関係、キューバ危機、大戦後の冷戦期など、アウトラインを知って鑑賞した方がいいかも、です。
また、劇中には度々英米文学、作家名や詩人名が出てきます。その中で一際印象深い「ユリシーズ」という本。気になって調べてみると、アイルランド出身の小説家の作品で、なんとアメリカ・イギリスでは当時発禁本!だったそう。作品中での「ユリシ-ズ」とは、そう呼ばれる(ニックネーム、みたいなもの)諜報部員がいて、とってもKeyマンとなっているのです(因みにエドワードは“マザー”と呼ばれています)。この作品の事を指して使われているならば、これ自体を読んだことがある人なら、作品の持つ特性がよく判り、どうして劇中の彼がユリシーズと呼ばれるのかよく判るのかも。
そこここに高尚な香りがして無学な私は「・・・多分こんな意味?」と、察して(勝手に)鑑賞していた部分もありました。
秘密結社(スカル・アンド・ボーン)の謎めいた感じは「アイズワイドシャット」、駆け引きに駆け引きで応じる緊張感は「ゴッド・ファザー」、冷たさすら感じる国の争いは「シンドラーのリスト」、ちょっと思い浮かべた作品も見ごたえのあるものばかりです。
過去にさかのぼったり戻ったりする設定だし、一つ一つのセリフが意味深で、途中でメモでも取りたいな、という気分にもなる緊張の167分間でした。
(だから事前にトイレは必ず行ってね)。
難しい作品・・・と思う反面、きっちりはっきり判った事は、「私みたいなタイプは決して諜報部員にはなれない(当たり前じゃ)!」と自覚出来た(平凡は幸せ♪)ことです。
だって、無口じゃないし、嘘はすぐバレる(顔に出る)し、大体ご飯の時に一番感謝したいのは「おてんとうさま」のクチだから。
「グッドシェパード」@映画生活
最近来日したロバート・デ・ニーロ(彼の名前を聞くだけで若干緊張するー)が、監督兼出演し、「10年暖めた」という入魂作品は、ここ最近“いわゆる娯楽作品”ばかりを観てきた私には、ちょっと脳みそがついていくのが大変な長編(167分!)社会派作品はでした。
↓ここからネタばれあり。
エドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は名門イェール大学卒の秀才。アメリカで政治への影響力甚大といわれる、「スカル・アンド・ボーン」のメンバーで、その冷静沈着、頭脳明晰、何よりも鉄仮面の如く無表情なポーカー・フェイスで軍の諜報機関で働く。アメリカ国家の為に‘忠実な羊’の如く、任務を遂行する姿は抜きん出ており、各方面に一目おかれる。妻のマーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)はそれは美しく、傍目には順風満帆なエリート人生、・・・それには大きな犠牲が伴っているのだ。
エドワードの19歳から41歳までの20数年間をマット・デイモンが好熱演!デニーロが当初検討していた、ディカプリオより配役として良かったのでは?
エドワードがレオ様だったら、もっと憂いを感じる演技をした、と思うので(あくまで私見)、マットのエドワードは冷静冷酷な中にもどこか何かもどかしい苦悩の様子で、このストーリーに合っていたように感じました。
とにかくちょっと込み入った内容で、一瞬たりとも気が抜けないー。
主役のマットは勿論、準主役や重要な役に(って全員)芸達者な俳優さんばかり。で、この芸達者’sがほぼ皆さん諜報部員な訳で、その真意が読み取りにくい表情&隠語に比喩、例えの会話、意図を読み取るのは仲々難しい(字幕追うのに精一杯。)。
話はアメリカ裏史ともいわれ、主人公のエドワードは架空の人だそうですが、JFK事件などで活躍したCIA幹部ジェームズ・アングルトンがモデルになっていらしいです。
CIA(話のほとんどはその前身組織)そしてFBIも出てきます。大きな組織が絡んだ国と国との裏の描き合いは、静かな‘画’の中にも緊張が漂います。時に「どっちがどっちのスパイしてるの?」と思うほどですが、それは「007」の様な派手なものでなく、あくまで情報収集と心理戦。
「誘惑とご褒美」そして「弱み」。
劇中、よく出るこの言葉に‘一流大学卒のロマンチスト’(なんだそう、諜報部員って)の迷いや苦悩、自己愛等が良く現れており、終盤に行くにつれ、「あの人はどっちなのか、この人はどう思っているのかどうするのか」と、引き込まれていきます。
私はそれ程詳しくないのですが、アメリカ近代史の中でも第二次世界大戦時の米英の関係、キューバ危機、大戦後の冷戦期など、アウトラインを知って鑑賞した方がいいかも、です。
また、劇中には度々英米文学、作家名や詩人名が出てきます。その中で一際印象深い「ユリシーズ」という本。気になって調べてみると、アイルランド出身の小説家の作品で、なんとアメリカ・イギリスでは当時発禁本!だったそう。作品中での「ユリシ-ズ」とは、そう呼ばれる(ニックネーム、みたいなもの)諜報部員がいて、とってもKeyマンとなっているのです(因みにエドワードは“マザー”と呼ばれています)。この作品の事を指して使われているならば、これ自体を読んだことがある人なら、作品の持つ特性がよく判り、どうして劇中の彼がユリシーズと呼ばれるのかよく判るのかも。
そこここに高尚な香りがして無学な私は「・・・多分こんな意味?」と、察して(勝手に)鑑賞していた部分もありました。
秘密結社(スカル・アンド・ボーン)の謎めいた感じは「アイズワイドシャット」、駆け引きに駆け引きで応じる緊張感は「ゴッド・ファザー」、冷たさすら感じる国の争いは「シンドラーのリスト」、ちょっと思い浮かべた作品も見ごたえのあるものばかりです。
過去にさかのぼったり戻ったりする設定だし、一つ一つのセリフが意味深で、途中でメモでも取りたいな、という気分にもなる緊張の167分間でした。
(だから事前にトイレは必ず行ってね)。
難しい作品・・・と思う反面、きっちりはっきり判った事は、「私みたいなタイプは決して諜報部員にはなれない(当たり前じゃ)!」と自覚出来た(平凡は幸せ♪)ことです。
だって、無口じゃないし、嘘はすぐバレる(顔に出る)し、大体ご飯の時に一番感謝したいのは「おてんとうさま」のクチだから。
「グッドシェパード」@映画生活
by bijomaru0330am | 2007-08-12 23:45 | 試写会