「武士の一分」を観る
2006年 12月 23日
山田洋次監督作品・三部作の完結、「武士の一分」を観てきました。
云わずと知れたSMAPの木村拓哉の主演作品です。
三つの作品に共通するのはつつましい下級武士ってところなんですよね、時代は違えども親近感の沸く時代劇のシリーズです。
一作目の主演は、真田広之&宮沢りえ。二作目は永澤正敏&松たか子。
この二作の主演俳優は‘ちょんまげ’姿に見慣れていた方だったのでなんとも思わなかったのに、キムタクの‘ちょんまげ’はなんとも初々しい印象でした。
冒頭、お勤めのことをおしゃべりし、妻を「あほじゃの。」と云うキムタク。
とても裕福とは見えない‘旦那様(木村拓哉)’と‘加世(壇れい)’夫婦が主演です。この二人の可愛らしいこと。
申し訳ないのですが、「壇さん」といったら壇ふみさんしか思いつかなかった私。
全く知らない俳優さんの演技って?とも思っていましたし、一度TVで観たきりのキムタクの武士ってのも想像も付かない。
やはり彼にはデニム・Tシャツといったスタイルの方が似合うのでは、と正直、「このままかわいい(顔が綺麗だから)かんじのままかしら。」と心配でした。
そんな危惧は観進めるうちに払拭され、要所々々で泣かされ、クスッとさせられ、総じて悪くなかったのでは?と思いました。
(↓ここからネタばれ、但し公開後、結構経つので。)
東北のとある藩のお毒見役、下級武士の三村(木村拓哉)と加世(壇れい)は中間(ちゅうげん)の徳平(笹野高史)を含め、貧しいながらも幸せな暮らしぶり。実のところ腕のいい武芸者である三村は、今のお毒見役には満足ではなく、早めに隠居して身分問わずの道場をこしらえたい、と夢を持つ。
初めにも書きましたが、お毒見役をしている三村は正直、今時のサラリーマンとそう違いない印象です。朝ごはんの席で今のお役目(仕事)について(ちょっと嫌なのです、仕事。)ひとくさり。
しっかり者だけど、‘初(うい)’妻、加世に身支度をさせつつ「んじゃ、行って来るー。」(ちゃんとしたセリフでしたよ)みたいな感じでご出勤。
時代は違えども、なんら我ら庶民の生活と違いがありません。
お勤め中も、仲間同士お毒見中に「それ、何(食べてるの)?」なんて、言い合ったり。
徳平をちょっとイタズラで邪険にしたり、序盤はユーモア(ギャグ?)満載でちょっとキムタクがSMAPとして出ているCXの「スマ×スマ」を思い出しちゃいました。
このテンポのままず~といってしまうのかな、とちょっと不安になって来た頃に、お毒見最中、貝にあたって生死の境をさまよう事に。
結果失明してしまうのですが、具合が悪くなる前までのキムタクとはまるで別人の様にがらりと様子が変わってその絶望感が切に感じました。
それでも、三村のもともとの性格が、ちょっとおちゃめでユーモアがあり、何事にも前向きな達な設定なのでしょうね(まるでキムタクのまんまな印象)。
目が見えなくなってじれったい気持ちがあっても、なんとか笑顔が出てくる暮らしになるのです。
そんな時、ひょんな事から加世の不貞を知ることに。怒りは果てしなく、自分が情けなく、加世を離縁する三村。
そしてそれは新たな事実を知ることになり、「武士の一分」として果し合いを志す形相へと変わる様子はまた全然違っており、ちょうど三人のキムタクを観る様でした。
彼の“立会い”も迫力ありました、ちゃんと剣道も長くしていたそうだし、素養もあるのでしょうが彼は演技がやっぱり上手いなぁ、と感じました。
また初見・初耳の加世・壇さん。
当初、山田作品前出の二作の主演女優と比べたらお気の毒、とさえ思っていました。
が、二人とはまた違った趣で、今後の出演作品が気になります。
1971年生って、もう立派なオトナの女性なんですね、この作品では若く見えましたが。
これは同年代の女優さんは、うかうかして居られません、素晴らしく良かったです。
まず鬘がよくお似合い。私の中の着物が似合う日本女優のTOPに君臨する壇ふみさんさえ脅かす、けれんみの無い演技・可憐さです。個人的にはTVドラマ等には出ないで、映画一本でいって頂きたい女優さんです。
三部作の完結でプレッシャーもあったでしょうが、とぼけた感じも親近感が得られ、いろんな意味で丁寧に頑張って作られた作品で好感が持てました。
キムタク独りでイケてる作品ではなく、三村・加世・徳平の三人の朗らかさと信頼関係が全体の雰囲気とニュアンスを作り上げていて、いままでの時代劇が「墨絵」や「日本画」ならこの作品は「パステル画」のような感じでした。
欲を言えば、「Theキムタク」みたいなのを期待してしまっていて、思ったよりあっさりしてたな、ということでしょうか。
「武士の一分」@映画生活
云わずと知れたSMAPの木村拓哉の主演作品です。
三つの作品に共通するのはつつましい下級武士ってところなんですよね、時代は違えども親近感の沸く時代劇のシリーズです。
一作目の主演は、真田広之&宮沢りえ。二作目は永澤正敏&松たか子。
この二作の主演俳優は‘ちょんまげ’姿に見慣れていた方だったのでなんとも思わなかったのに、キムタクの‘ちょんまげ’はなんとも初々しい印象でした。
冒頭、お勤めのことをおしゃべりし、妻を「あほじゃの。」と云うキムタク。
とても裕福とは見えない‘旦那様(木村拓哉)’と‘加世(壇れい)’夫婦が主演です。この二人の可愛らしいこと。
申し訳ないのですが、「壇さん」といったら壇ふみさんしか思いつかなかった私。
全く知らない俳優さんの演技って?とも思っていましたし、一度TVで観たきりのキムタクの武士ってのも想像も付かない。
やはり彼にはデニム・Tシャツといったスタイルの方が似合うのでは、と正直、「このままかわいい(顔が綺麗だから)かんじのままかしら。」と心配でした。
そんな危惧は観進めるうちに払拭され、要所々々で泣かされ、クスッとさせられ、総じて悪くなかったのでは?と思いました。
(↓ここからネタばれ、但し公開後、結構経つので。)
東北のとある藩のお毒見役、下級武士の三村(木村拓哉)と加世(壇れい)は中間(ちゅうげん)の徳平(笹野高史)を含め、貧しいながらも幸せな暮らしぶり。実のところ腕のいい武芸者である三村は、今のお毒見役には満足ではなく、早めに隠居して身分問わずの道場をこしらえたい、と夢を持つ。
初めにも書きましたが、お毒見役をしている三村は正直、今時のサラリーマンとそう違いない印象です。朝ごはんの席で今のお役目(仕事)について(ちょっと嫌なのです、仕事。)ひとくさり。
しっかり者だけど、‘初(うい)’妻、加世に身支度をさせつつ「んじゃ、行って来るー。」(ちゃんとしたセリフでしたよ)みたいな感じでご出勤。
時代は違えども、なんら我ら庶民の生活と違いがありません。
お勤め中も、仲間同士お毒見中に「それ、何(食べてるの)?」なんて、言い合ったり。
徳平をちょっとイタズラで邪険にしたり、序盤はユーモア(ギャグ?)満載でちょっとキムタクがSMAPとして出ているCXの「スマ×スマ」を思い出しちゃいました。
このテンポのままず~といってしまうのかな、とちょっと不安になって来た頃に、お毒見最中、貝にあたって生死の境をさまよう事に。
結果失明してしまうのですが、具合が悪くなる前までのキムタクとはまるで別人の様にがらりと様子が変わってその絶望感が切に感じました。
それでも、三村のもともとの性格が、ちょっとおちゃめでユーモアがあり、何事にも前向きな達な設定なのでしょうね(まるでキムタクのまんまな印象)。
目が見えなくなってじれったい気持ちがあっても、なんとか笑顔が出てくる暮らしになるのです。
そんな時、ひょんな事から加世の不貞を知ることに。怒りは果てしなく、自分が情けなく、加世を離縁する三村。
そしてそれは新たな事実を知ることになり、「武士の一分」として果し合いを志す形相へと変わる様子はまた全然違っており、ちょうど三人のキムタクを観る様でした。
彼の“立会い”も迫力ありました、ちゃんと剣道も長くしていたそうだし、素養もあるのでしょうが彼は演技がやっぱり上手いなぁ、と感じました。
また初見・初耳の加世・壇さん。
当初、山田作品前出の二作の主演女優と比べたらお気の毒、とさえ思っていました。
が、二人とはまた違った趣で、今後の出演作品が気になります。
1971年生って、もう立派なオトナの女性なんですね、この作品では若く見えましたが。
これは同年代の女優さんは、うかうかして居られません、素晴らしく良かったです。
まず鬘がよくお似合い。私の中の着物が似合う日本女優のTOPに君臨する壇ふみさんさえ脅かす、けれんみの無い演技・可憐さです。個人的にはTVドラマ等には出ないで、映画一本でいって頂きたい女優さんです。
三部作の完結でプレッシャーもあったでしょうが、とぼけた感じも親近感が得られ、いろんな意味で丁寧に頑張って作られた作品で好感が持てました。
キムタク独りでイケてる作品ではなく、三村・加世・徳平の三人の朗らかさと信頼関係が全体の雰囲気とニュアンスを作り上げていて、いままでの時代劇が「墨絵」や「日本画」ならこの作品は「パステル画」のような感じでした。
欲を言えば、「Theキムタク」みたいなのを期待してしまっていて、思ったよりあっさりしてたな、ということでしょうか。
「武士の一分」@映画生活
by bijomaru0330am | 2006-12-23 23:45 | 映画鑑賞