「涙そうそう」を観る
2006年 09月 28日
TBSのこの秋のイチオシ邦画、「涙そうそう」を観てきました。
人気者の若い2人の俳優さん(妻夫木聡さんと長澤まさみさん)が主役、と言うことで満員御礼のパンパン、補助椅子まで出る大入りな試写会でした。
この題名「涙(なだ)そうそう」は言わずと知れた、今や直太朗・母、といったほうが早い歌手・森山良子の代表作であり、妊婦のカリスマ、歌手・夏川りみが唄う不朽の名作「涙そうそう」のこと。
森山さんの若くして亡くなったお兄さんを慕って書いた詩に、BEGINが曲を付けたものだそうで、誰もが一度は耳にしたことがあることでしょう。また意味は、沖縄方言で「涙がとめどなく流れ出ること・涙、ポロポロ」のだそうです。
歌詞を良く知っている人は、愛する人との別れ、思い出、その愛の深さと悲しみが大いに描かれているのだと判るでしょうし、バンバンTVCMで流れているので、「にぃに~ぃ!」のセリフは既に耳にタコ(!?)かと・・・・いや、それはちょっと冗談ですが、この長澤さんの「にぃに~ぃ!」は感動以外に何者でもない、愛のこもった兄への、たった一人のお兄ちゃんへの呼びかけなんです。
それは観ている間に、鑑賞後に、心に大きく響いて涙をこらえることは出来ませんでした。
(↓ここからネタバレ、鑑賞予定の方はSTOP!したほうがヨシ。)
沖縄に住む主人公の‘にぃにい’こと洋太郎(妻夫木)とカオル(長澤)は血の繋がらない兄妹。
それぞれ母(小泉今日子)の連れ子、父(中村達也)の連れ子として一緒に家族となった。
大好きな母が、惚れたオトコはミュージシャン。幸せな時は短かった。
大人の都合というのは子供には判らないもの、ある日プイッと出て行った父、病気で余命いくばくもない母。
少年・洋太郎は母の臨終の枕元で小さいカオルをずっとずっと守るように、と約束をした。
身寄りのない幼い二人は母方の祖母宅に身を寄せる。そこは小さな島。2人は幼いながらも信頼し合い、一生懸命生きていく。
幼い洋太郎の役には、広田亮平クン、カオル役には佐々木麻緒チャン。
小泉今日子さん演ずる母が亮平クンと指きりするシーンはTVでも流れていますが、喉の奥がグッグッっとなって嗚咽が出そうになります。
小さいカオル・麻緒チャンが、ばーちゃんの島に来ても落ち着かず、大雨の夜中に浜にさまよい出ちゃうシーンで、亮平にぃにぃが必死にカオルを探し回り、アニメ「となりのトトロ」でメイを探すさつきちゃんの様子を思い出し、またまた喉の奥がぁ~、となります。
この作品は、主演の2人の演技も勿論ですが、子役の果たした役割りはことのほか大きなもので、この子供時代のシーンなくして語れず、です。
時は流れ、高校も中退し仕送りの為に懸命に働く洋太郎の元に、街の高校に受かったカオルがやってくる、久しぶりの兄妹暮らしの始まりだ。
「にーぃに~ぃ!!」
船の舳先で叫ぶ(笑)まさみチャン可愛いです。爽やかで、穢れの知らない感じがいいです。満開のハイビスカスの様な笑顔でした。
2人の住む部屋は何故か、ボロボロなのに暖か味があり、心地よい風が流れています。
咲き乱れるブーゲンビリア、シーサーの置物、ゆれるカーテン、古ぼけた窓ガラス。
眩しい程に成長したカオルを迎える洋太郎、戸惑いと親心と複雑に入り混じった心の演技を妻夫木くんは見事に演じていました。感情がとても入っていたのでしょうね、先ごろ報道されたように、舞台挨拶では感極まった場面もあったようで、鑑賞してみればそれも納得出来ました。
にぃにぃの恋人には麻生久美子さん、私が目にしてきた彼女の役どころはいつも‘お姫さまちっく’で演者というより、お人形さん的な感じが(ファンの方ごめんなさい)していたのですが、良かったです。今回もお金持ちのお嬢様役ではありましたが、複雑なオンナ心を見事に演じ、今後の作品が待たれます。
にぃにぃの友人は塚本高史さん、「タイヨウのうた」に引き続き、フィルムでもTVでもここの処いい役・いい演技が続いている感じがします(「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ 」も乞!ご期待!)。
彼の“エイサー”(沖縄の夏祭り)のシーンはかっこよくってキマってて、沖縄色を一気に盛り上げているのですが、このお祭りのシーンは2人の兄妹の大きなヤマ場でもあり見落としてはならない時間です。
洋太郎の夢は破れ苦労の連続となるが、カオルへの愛情は破れる処か益々募る。
カオルの成長は順調で、にぃにぃへの感謝の気持ち、にぃにぃへの愛情、言い知れぬ感情をどうしたらいいのか思いあぐねる。
このあたりの長澤さん、高校三年生役が等身大でまたハマっていました。
感情表現も素晴らしかった、感動しました。
離れて暮らすことになる2人。
すべての時間は静かに進む。・・・・もうすぐカオルは成人式だ。
唄の歌詞に、
「古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた」、とあるように、洋太郎もカオルも楽しい思い出写真だけではない、大事な愛情と感謝の気持ちでアルバムを見る。
「いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ」、とあるように、洋太郎は、「なんくるないさー(どうにかなるさ)」と今の境遇を笑い飛ばし、周りの人々や働く市場のおばぁ(オバチャン)達に愛され、また時には、それで叱咤激励される。
カオルも苦労する兄を陰ながら応援する。
「晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔」、とあるように、洋太郎はカオルに笑顔を、周りの皆に元気をふりまき、カオルも「にぃに~ぃ」と兄を慕い微笑み、知らず々々癒す。
周りを固める俳優陣も良かったです。思うに、ウチナンチュー俳優は沖縄弁にかなり苦労して頑張ったのだ、と感じました。ウチナーの俳優さんのセリフは正に本場、意味が「?」になりそうなくらい、沖縄弁で全編いきますから、よーく聴かないとダメですよ。
街に生えるやしの木、青い空、照りつける太陽、鮮やかな花がよりいっそう沖縄の美しさを醸し出す中、BIGINの「三線の花」の曲は異国情調の中にも儚い2人の運命を案じて気分をぐっと盛り上げてくれます。
「想い出遠くあせても 面影探して よみがえる日は 涙そうそう」、とあるように、
かけがえの無い愛情、親子でもない、恋人でもない、ましてや夫婦でも、血の繋がった兄妹でもない、こんな形の愛に、涙してしまいました。
「さみしくて 恋しくて 君への想い 涙そうそう」
「会いたくて 会いたくて 君への想い 涙そうそう」
エンドロールが出ても席は立たないように。
素敵なスチールが沢山見られます。
「涙そうそう」公式HP
http://www.nada-so.jp/
「涙そうそう」@映画生活
http://www.eigaseikatu.com/title/16132/
人気者の若い2人の俳優さん(妻夫木聡さんと長澤まさみさん)が主役、と言うことで満員御礼のパンパン、補助椅子まで出る大入りな試写会でした。
この題名「涙(なだ)そうそう」は言わずと知れた、今や直太朗・母、といったほうが早い歌手・森山良子の代表作であり、妊婦のカリスマ、歌手・夏川りみが唄う不朽の名作「涙そうそう」のこと。
森山さんの若くして亡くなったお兄さんを慕って書いた詩に、BEGINが曲を付けたものだそうで、誰もが一度は耳にしたことがあることでしょう。また意味は、沖縄方言で「涙がとめどなく流れ出ること・涙、ポロポロ」のだそうです。
歌詞を良く知っている人は、愛する人との別れ、思い出、その愛の深さと悲しみが大いに描かれているのだと判るでしょうし、バンバンTVCMで流れているので、「にぃに~ぃ!」のセリフは既に耳にタコ(!?)かと・・・・いや、それはちょっと冗談ですが、この長澤さんの「にぃに~ぃ!」は感動以外に何者でもない、愛のこもった兄への、たった一人のお兄ちゃんへの呼びかけなんです。
それは観ている間に、鑑賞後に、心に大きく響いて涙をこらえることは出来ませんでした。
(↓ここからネタバレ、鑑賞予定の方はSTOP!したほうがヨシ。)
沖縄に住む主人公の‘にぃにい’こと洋太郎(妻夫木)とカオル(長澤)は血の繋がらない兄妹。
それぞれ母(小泉今日子)の連れ子、父(中村達也)の連れ子として一緒に家族となった。
大好きな母が、惚れたオトコはミュージシャン。幸せな時は短かった。
大人の都合というのは子供には判らないもの、ある日プイッと出て行った父、病気で余命いくばくもない母。
少年・洋太郎は母の臨終の枕元で小さいカオルをずっとずっと守るように、と約束をした。
身寄りのない幼い二人は母方の祖母宅に身を寄せる。そこは小さな島。2人は幼いながらも信頼し合い、一生懸命生きていく。
幼い洋太郎の役には、広田亮平クン、カオル役には佐々木麻緒チャン。
小泉今日子さん演ずる母が亮平クンと指きりするシーンはTVでも流れていますが、喉の奥がグッグッっとなって嗚咽が出そうになります。
小さいカオル・麻緒チャンが、ばーちゃんの島に来ても落ち着かず、大雨の夜中に浜にさまよい出ちゃうシーンで、亮平にぃにぃが必死にカオルを探し回り、アニメ「となりのトトロ」でメイを探すさつきちゃんの様子を思い出し、またまた喉の奥がぁ~、となります。
この作品は、主演の2人の演技も勿論ですが、子役の果たした役割りはことのほか大きなもので、この子供時代のシーンなくして語れず、です。
時は流れ、高校も中退し仕送りの為に懸命に働く洋太郎の元に、街の高校に受かったカオルがやってくる、久しぶりの兄妹暮らしの始まりだ。
「にーぃに~ぃ!!」
船の舳先で叫ぶ(笑)まさみチャン可愛いです。爽やかで、穢れの知らない感じがいいです。満開のハイビスカスの様な笑顔でした。
2人の住む部屋は何故か、ボロボロなのに暖か味があり、心地よい風が流れています。
咲き乱れるブーゲンビリア、シーサーの置物、ゆれるカーテン、古ぼけた窓ガラス。
眩しい程に成長したカオルを迎える洋太郎、戸惑いと親心と複雑に入り混じった心の演技を妻夫木くんは見事に演じていました。感情がとても入っていたのでしょうね、先ごろ報道されたように、舞台挨拶では感極まった場面もあったようで、鑑賞してみればそれも納得出来ました。
にぃにぃの恋人には麻生久美子さん、私が目にしてきた彼女の役どころはいつも‘お姫さまちっく’で演者というより、お人形さん的な感じが(ファンの方ごめんなさい)していたのですが、良かったです。今回もお金持ちのお嬢様役ではありましたが、複雑なオンナ心を見事に演じ、今後の作品が待たれます。
にぃにぃの友人は塚本高史さん、「タイヨウのうた」に引き続き、フィルムでもTVでもここの処いい役・いい演技が続いている感じがします(「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ 」も乞!ご期待!)。
彼の“エイサー”(沖縄の夏祭り)のシーンはかっこよくってキマってて、沖縄色を一気に盛り上げているのですが、このお祭りのシーンは2人の兄妹の大きなヤマ場でもあり見落としてはならない時間です。
洋太郎の夢は破れ苦労の連続となるが、カオルへの愛情は破れる処か益々募る。
カオルの成長は順調で、にぃにぃへの感謝の気持ち、にぃにぃへの愛情、言い知れぬ感情をどうしたらいいのか思いあぐねる。
このあたりの長澤さん、高校三年生役が等身大でまたハマっていました。
感情表現も素晴らしかった、感動しました。
離れて暮らすことになる2人。
すべての時間は静かに進む。・・・・もうすぐカオルは成人式だ。
唄の歌詞に、
「古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた」、とあるように、洋太郎もカオルも楽しい思い出写真だけではない、大事な愛情と感謝の気持ちでアルバムを見る。
「いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ」、とあるように、洋太郎は、「なんくるないさー(どうにかなるさ)」と今の境遇を笑い飛ばし、周りの人々や働く市場のおばぁ(オバチャン)達に愛され、また時には、それで叱咤激励される。
カオルも苦労する兄を陰ながら応援する。
「晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔」、とあるように、洋太郎はカオルに笑顔を、周りの皆に元気をふりまき、カオルも「にぃに~ぃ」と兄を慕い微笑み、知らず々々癒す。
周りを固める俳優陣も良かったです。思うに、ウチナンチュー俳優は沖縄弁にかなり苦労して頑張ったのだ、と感じました。ウチナーの俳優さんのセリフは正に本場、意味が「?」になりそうなくらい、沖縄弁で全編いきますから、よーく聴かないとダメですよ。
街に生えるやしの木、青い空、照りつける太陽、鮮やかな花がよりいっそう沖縄の美しさを醸し出す中、BIGINの「三線の花」の曲は異国情調の中にも儚い2人の運命を案じて気分をぐっと盛り上げてくれます。
「想い出遠くあせても 面影探して よみがえる日は 涙そうそう」、とあるように、
かけがえの無い愛情、親子でもない、恋人でもない、ましてや夫婦でも、血の繋がった兄妹でもない、こんな形の愛に、涙してしまいました。
「さみしくて 恋しくて 君への想い 涙そうそう」
「会いたくて 会いたくて 君への想い 涙そうそう」
エンドロールが出ても席は立たないように。
素敵なスチールが沢山見られます。
「涙そうそう」公式HP
http://www.nada-so.jp/
「涙そうそう」@映画生活
http://www.eigaseikatu.com/title/16132/
by bijomaru0330am | 2006-09-28 23:45 | 試写会