「ワールド・トレード・センター」を観る
2006年 08月 10日
この作品は、2006年9月11日に起こったテロ、瓦礫の中に埋まって助かった当時の湾岸警察官・二名を主人公にした話です。
本日、本国の公開初日にあわせて日本でも初お披露目ということで、映画コメンテーターとしてかなり古株で有名な(結構好き)クロ子さん司会の試写会にお邪魔してきました。
マスコミ取材も入っていたし、多数の警備員配置のちょっと物々しい試写会でした。
5年前、突然にTV番組が切り変わって、何がなんだかわからないままに悲惨な映像を目の当たりにしたそのままに(当時のフィルムも使っているのでしょうか?)、作品が始まってすぐに心臓がドキドキして、ティッシュを持っていないと困る状態で鑑賞しました。
会場のあちらこちらでも深いため息とすすり泣きと、空気の重苦しい鑑賞会でした。
いわゆる「9・11」と今日いわれ表されるこのテロ事件については、もう一本「ユナイテッド93」という作品があります。
こちらの作品は、ハイジャックされたユナイテッド航空93便の乗客が、一致団結して自分の飛行機が二次災害の‘弾’とならない様に、命の捨てて防いだお話だそうです。
誰も生き残っていないですが、機内から架ってきた電話や日頃のひととなり、管制塔とのやりとりなど綿密に取材し、有名でなくとも故人によく似た俳優さんを使うなど、忠実な再現ドラマとなっているそうです。
「ワールド・トレード・センター」は管轄の湾岸警察官だった二人の主人公の日頃の生活も重ね合わせて話が進んでいきます。
主人公の一人はニコラス・ケイジが演じるジョン隊長、もう一人は「ミリオンダラー・ベイビー」と「クラッシュ」に立て続け出演のマイケル・ペーニャ(ヒメノ警察官役)が演じました。
お二人とも有名な一流俳優さん。それぞれの奥さま役も有名実力派女優さんです。
(ジョン妻はマリア・ベロ、ヒメノ妻はあのギレンホール一族のマギー・ギレンホール)
この2本の作品はかなり前から事有るごとに比較され、私が知るところこの「ユナイテッド93」の方が国内では評判が高い様です。
この事件の大きさが世間をそうしているのかもしれませんが、逆にこの作品、「ワールド・トレード・センター」に対してバッシングがあるようです。
それはなんとなく「観ないほうがいいよ。」と感じるものです。
この二つの作品の扱いの違いがいまひとつ解らないのですが、今回ブログを書くかどうかちょっと迷いました。観たらいけないものを観て書くのは・・・・と。
映画感想は観た人の個人的な主観で書かれます。
時には宣伝フィルムだけで感想を書く人もいます。それは書く人の自由です。
時に自分が大好きな作品でも、けちょんけちょんにこき下ろされて、傷つくこともあります。
この試写が当たる少し前、アメリカにその当時住んでいた方などが、経験したことだから、巻き込まれた知人がいるから、といろんな理由で観ない!と言っているそうだ、と聞きました。
その気持ちはよく解ります。
子供の時に、「ひめゆりの塔」を読んで、怖くて悲しくて辛くて大泣きしたことがあります。
子供ながらに、「こんなに辛い出来事を改めて読んでまた苦しくなるのはもうイヤ」と、かなり大人になっても戦争ドラマや戦争映画は故意的に避けてきました。
戦争体験のない私でさえ、“恐怖を再びもう一度わざわざ体験することはない”と思ったのですから、ほんの5年前の辛さを見ろ、といわれて映画だから平気~、といえない人は沢山いると思います。今はPTSDという病気もありますし。
カッコイイ事を書けば、私は「試写会マニア」なので、見たくて応募しているのだし、捨ててしまったら外れた方に申し訳ないじゃん、と、どんな時も思っています。
本題の映画鑑賞に入りましょう。
主演のニコラス・ケイジについてちょっと書くと、彼の作品で印象が深いのが「コレリ大尉のマンドリン」と「ウィンド・トーカーズ」。
なんだかいつも埃だらけの泥だらけな印象が・・・。そういえば「ナショナル・トレジャー」でも埃にまみれでしたね。
(日本の誇る世界第二位のちゅらかーぎー・知花くららさんはファンなのよ)
ケイジも今年で42歳。
ちょっと細めな感じの人の良さげなお父さん、って感じ。いつもながら演技は上手くって、見ていて安心でした。
マイケルの方は、着任6年目の警官でこの仕事に誇りをもって就いている、もうすぐ二人目が生まれるパパ。こちらもいい演技だったと思います。
本当に普通の家庭のパパが突然に(任務とはいえ)巻き込まれた大惨事を、妻の目をもとおして物語ってくれた作品です。
特に派手な演出はなかった、といっていいでしょうが、とにかく映像は衝撃的でした。
監督はこういった壮大な作品を撮らせたらピカイチのオリバー・ストーン氏。
「プラトーン」がかなりの有名作品ですが、戦争映画がちょっと苦手なので未鑑賞です。
後半二人はずっと瓦礫に埋もれてて、必死に語り合うシーンが多いです(寝ちゃうと死んでしまう、内臓が破裂しているから)。
自分のこと、家族のこと、子供のこと、妻のこと、必死に無理やり話すことで命を永らえるのです。
途中意識が薄れて「三途の川」を渡りそうになっても、それぞれ神様や奥さんが幻覚の様に見えて、‘生かされる’ような場面もあります。
「ユナイテッド93」は未鑑賞なので、私はこのテロの映画としてどちらがよくてオススメかは書けないし、こっちのがいい、とかも書けません。
この週末に日本公開なので、今後試写以外の方のレビューも読んでみたいです。
あえて意地悪く書くなら、役者が有名俳優だった分綺麗な印象がしたかも、といえばそうかもしれません。
痛ましくて見て居られなかったのは、ビルに入る時に警官を選抜していくのですが、見送った警官(今生きているでしょから)の気持ちや、ビルのロビーで一言二言会話した人で死んでしまった方のご遺族、初めは3人で生き残ったのに、怪我が酷くて自ら命を絶った同僚のご遺族の気持ちを考えると、「冷静には見れない」と思ったことです。
いつもは五月蝿く感じる、観客の鞄を開ける音や、鼻をかむ音が、辛くて“深い悲しみの淵”に落っこちてしまいそうな私を、暫し現実に戻してくれちょっとホッとしました。
広島や長崎に原爆が落とされて其れはそれはヒドイ目にあいました。被爆地の家族を探しに健康な人も二次被爆しました。真珠湾攻撃を受けた人も、日本の奇襲にどれだけ苦しめられたことでしょう。
テロと戦争はカテゴリーが違うそうですが、テロが憎むべきもので、戦争は仕方ないとは思っていません。
いつでも何にもしていない弱い人が巻き込まれて、一生を棒にふるのです。
命の尊さを知るにはこういった映画も必要、と考えています。
無論、観る人の自由です。
本日、本国の公開初日にあわせて日本でも初お披露目ということで、映画コメンテーターとしてかなり古株で有名な(結構好き)クロ子さん司会の試写会にお邪魔してきました。
マスコミ取材も入っていたし、多数の警備員配置のちょっと物々しい試写会でした。
5年前、突然にTV番組が切り変わって、何がなんだかわからないままに悲惨な映像を目の当たりにしたそのままに(当時のフィルムも使っているのでしょうか?)、作品が始まってすぐに心臓がドキドキして、ティッシュを持っていないと困る状態で鑑賞しました。
会場のあちらこちらでも深いため息とすすり泣きと、空気の重苦しい鑑賞会でした。
いわゆる「9・11」と今日いわれ表されるこのテロ事件については、もう一本「ユナイテッド93」という作品があります。
こちらの作品は、ハイジャックされたユナイテッド航空93便の乗客が、一致団結して自分の飛行機が二次災害の‘弾’とならない様に、命の捨てて防いだお話だそうです。
誰も生き残っていないですが、機内から架ってきた電話や日頃のひととなり、管制塔とのやりとりなど綿密に取材し、有名でなくとも故人によく似た俳優さんを使うなど、忠実な再現ドラマとなっているそうです。
「ワールド・トレード・センター」は管轄の湾岸警察官だった二人の主人公の日頃の生活も重ね合わせて話が進んでいきます。
主人公の一人はニコラス・ケイジが演じるジョン隊長、もう一人は「ミリオンダラー・ベイビー」と「クラッシュ」に立て続け出演のマイケル・ペーニャ(ヒメノ警察官役)が演じました。
お二人とも有名な一流俳優さん。それぞれの奥さま役も有名実力派女優さんです。
(ジョン妻はマリア・ベロ、ヒメノ妻はあのギレンホール一族のマギー・ギレンホール)
この2本の作品はかなり前から事有るごとに比較され、私が知るところこの「ユナイテッド93」の方が国内では評判が高い様です。
この事件の大きさが世間をそうしているのかもしれませんが、逆にこの作品、「ワールド・トレード・センター」に対してバッシングがあるようです。
それはなんとなく「観ないほうがいいよ。」と感じるものです。
この二つの作品の扱いの違いがいまひとつ解らないのですが、今回ブログを書くかどうかちょっと迷いました。観たらいけないものを観て書くのは・・・・と。
映画感想は観た人の個人的な主観で書かれます。
時には宣伝フィルムだけで感想を書く人もいます。それは書く人の自由です。
時に自分が大好きな作品でも、けちょんけちょんにこき下ろされて、傷つくこともあります。
この試写が当たる少し前、アメリカにその当時住んでいた方などが、経験したことだから、巻き込まれた知人がいるから、といろんな理由で観ない!と言っているそうだ、と聞きました。
その気持ちはよく解ります。
子供の時に、「ひめゆりの塔」を読んで、怖くて悲しくて辛くて大泣きしたことがあります。
子供ながらに、「こんなに辛い出来事を改めて読んでまた苦しくなるのはもうイヤ」と、かなり大人になっても戦争ドラマや戦争映画は故意的に避けてきました。
戦争体験のない私でさえ、“恐怖を再びもう一度わざわざ体験することはない”と思ったのですから、ほんの5年前の辛さを見ろ、といわれて映画だから平気~、といえない人は沢山いると思います。今はPTSDという病気もありますし。
カッコイイ事を書けば、私は「試写会マニア」なので、見たくて応募しているのだし、捨ててしまったら外れた方に申し訳ないじゃん、と、どんな時も思っています。
本題の映画鑑賞に入りましょう。
主演のニコラス・ケイジについてちょっと書くと、彼の作品で印象が深いのが「コレリ大尉のマンドリン」と「ウィンド・トーカーズ」。
なんだかいつも埃だらけの泥だらけな印象が・・・。そういえば「ナショナル・トレジャー」でも埃にまみれでしたね。
(日本の誇る世界第二位のちゅらかーぎー・知花くららさんはファンなのよ)
ケイジも今年で42歳。
ちょっと細めな感じの人の良さげなお父さん、って感じ。いつもながら演技は上手くって、見ていて安心でした。
マイケルの方は、着任6年目の警官でこの仕事に誇りをもって就いている、もうすぐ二人目が生まれるパパ。こちらもいい演技だったと思います。
本当に普通の家庭のパパが突然に(任務とはいえ)巻き込まれた大惨事を、妻の目をもとおして物語ってくれた作品です。
特に派手な演出はなかった、といっていいでしょうが、とにかく映像は衝撃的でした。
監督はこういった壮大な作品を撮らせたらピカイチのオリバー・ストーン氏。
「プラトーン」がかなりの有名作品ですが、戦争映画がちょっと苦手なので未鑑賞です。
後半二人はずっと瓦礫に埋もれてて、必死に語り合うシーンが多いです(寝ちゃうと死んでしまう、内臓が破裂しているから)。
自分のこと、家族のこと、子供のこと、妻のこと、必死に無理やり話すことで命を永らえるのです。
途中意識が薄れて「三途の川」を渡りそうになっても、それぞれ神様や奥さんが幻覚の様に見えて、‘生かされる’ような場面もあります。
「ユナイテッド93」は未鑑賞なので、私はこのテロの映画としてどちらがよくてオススメかは書けないし、こっちのがいい、とかも書けません。
この週末に日本公開なので、今後試写以外の方のレビューも読んでみたいです。
あえて意地悪く書くなら、役者が有名俳優だった分綺麗な印象がしたかも、といえばそうかもしれません。
痛ましくて見て居られなかったのは、ビルに入る時に警官を選抜していくのですが、見送った警官(今生きているでしょから)の気持ちや、ビルのロビーで一言二言会話した人で死んでしまった方のご遺族、初めは3人で生き残ったのに、怪我が酷くて自ら命を絶った同僚のご遺族の気持ちを考えると、「冷静には見れない」と思ったことです。
いつもは五月蝿く感じる、観客の鞄を開ける音や、鼻をかむ音が、辛くて“深い悲しみの淵”に落っこちてしまいそうな私を、暫し現実に戻してくれちょっとホッとしました。
広島や長崎に原爆が落とされて其れはそれはヒドイ目にあいました。被爆地の家族を探しに健康な人も二次被爆しました。真珠湾攻撃を受けた人も、日本の奇襲にどれだけ苦しめられたことでしょう。
テロと戦争はカテゴリーが違うそうですが、テロが憎むべきもので、戦争は仕方ないとは思っていません。
いつでも何にもしていない弱い人が巻き込まれて、一生を棒にふるのです。
命の尊さを知るにはこういった映画も必要、と考えています。
無論、観る人の自由です。
by bijomaru0330am | 2006-08-10 21:11 | 試写会