「沈まぬ太陽」を観る
2009年 12月 08日
言わずと知れた山崎豊子の大作「沈まぬ太陽」を観てきました。主人公・恩地元を是非とも演じたいと今やハリウッド・スターの渡辺謙が熱望、作家に直談判したとか。それだけしたのがよく解る気がする彼の熱演が光りました。謙さんだけではなく、他の俳優さんもこんなに力を入れて演じているのは見た事ないくらいの情熱を感じ、途中10分休憩(「インターミッション」って言うんですって)が入るほど(んなのあるって初めて)尺の長い(202分!)作品でしたが、充実の満足の大作でした。(やっぱりお尻は痛くなっちゃったけどー)
1999年に発刊された同名の小説はあまりに有名で(ってまたもや読んでないー)、いまさらあらすじ云々、また公開(10/24)から日にちも経っているので、素直に感想だけ書かせて貰います。
主人公、恩地元。ナショナル・フラッグ(国営)の航空機会社の労働組合で二期委員長をした人。まさか、労組の委員長をしただだけで(時代もあるが)、「赤」と呼ばれ娘の結婚話に影響が出るとは思わなかったです。
今の10~20代の若い社会人で「労組」そのものを理解できる方ってそう多くないのでは??社会人になってから学ぶのかな?
私の親は劇中、「戦前からあるメーカーの労組とは訳が違う!」と、いうようなセリフにあった、戦前からある労組が存在する系のメーカーに勤めていました。なので、給与・賞与の団交は当たり前のことで、その為のストライキも当たり前としてとらえ育ってきたと思います。勿論、父の同僚という人の中には労組に未加入で疎遠にしていた人もいたので「そういうことをしない人もいる」とは理解していました。が、大人になって転職活動していた際に、たんなる些細な福利厚生の質問の一つとして「労働組合はないのですか?」と聞いた時の当時新進気鋭のコンピューター会社(今は破綻して影も形もナイ会社でーす)の人事の反応のスゴさに、「組合って嫌われてるんだ。」と痛感した記憶があります。
会社で働くことの、何に重きを置くかそれは各個人の自由と思います。社則に反する行為や言動は慎まなければなりませんが、基本的に与えられた仕事をして、お金を貰う為にお勤めする。ただそれだけでは(人生の大半の時間を過ごすから)ないと思うし。大きな会社になればなるほど従業員の声は聞こえ難くなるから会社と従業員の関係も複雑でしょう。
行天(三浦友和)の様に出世と私利私欲が会社の為と思っている人もいれば、八木(香川照之)の己を捨てても一矢報いるタイプもいるし。
いろいろ社会人として大人として考えさせられ、生き方を考えさせられるいい作品でした。
まぁ、とにかく役に役者さんたちが入り込んでて、柴俊夫さんの堂本社長なんて憎たらしくってもう柴さんに見えなかったです。役者ってスゴいですよね、山崎作品のパワーのせいでしょうか。
私は女性なので、また働いていても、出世欲もなく有期限の専門職のせいか会社を支えたいとか育てたいという欲望もないので、恩地や仰天の気持ちは計り知れない部分が多かったです。でも、やはり恩地さんの気持ちが一番よく解ったかしら。ただより親近感を覚えたのは、同じ女性達の気持ち。夫を支えるキャラでも子持ちでもないけど、恩地の奥さん・りつ子さん(鈴木京香)に共感を覚えました。悪いけどスッチーの三井さん(松雪)にはちっとも、な~にも感じませんでしたね、不倫って・・・愛人って。情けないし寂しい。“女”としてはそういう生き方もあるかな、とか思うけど、置かれた環境と立場を考えたらさっさとそんなコト止めるべきだったでしょうに。せっかくキャリアーなのに。そんな風に思うのは雇用均等法の下で働くことの出来た世代の自分だからかもしれませんが。
「劇中の固有名詞や人物はすべて架空」と注釈がありますが、誰がどう見ても“あの”航空会社の話。
もう数年前なら映像化出来なかった(影響力がデカ過ぎたろう)でしょうね、いま日本国、大企業が弱体化している今こそ映像化してなにかしらの警鐘となるであろう、と思いました。
それにしてもジャンボが墜落して遺族の悲しみや苦悩、何回見ても辛く涙が出ました。
あんな事故は兎に角絶対もうあってはなりません。
話の内容は楽しくて仕方ないものではないので、苦手な方も多いでしょうが、俳優の心意気というか演じるパワーを感じるだけでも観るだけの価値があるのでDVD化されたら、じっくり観て欲しい作品です。
「沈まぬ太陽」@ぴあ映画生活
1999年に発刊された同名の小説はあまりに有名で(ってまたもや読んでないー)、いまさらあらすじ云々、また公開(10/24)から日にちも経っているので、素直に感想だけ書かせて貰います。
主人公、恩地元。ナショナル・フラッグ(国営)の航空機会社の労働組合で二期委員長をした人。まさか、労組の委員長をしただだけで(時代もあるが)、「赤」と呼ばれ娘の結婚話に影響が出るとは思わなかったです。
今の10~20代の若い社会人で「労組」そのものを理解できる方ってそう多くないのでは??社会人になってから学ぶのかな?
私の親は劇中、「戦前からあるメーカーの労組とは訳が違う!」と、いうようなセリフにあった、戦前からある労組が存在する系のメーカーに勤めていました。なので、給与・賞与の団交は当たり前のことで、その為のストライキも当たり前としてとらえ育ってきたと思います。勿論、父の同僚という人の中には労組に未加入で疎遠にしていた人もいたので「そういうことをしない人もいる」とは理解していました。が、大人になって転職活動していた際に、たんなる些細な福利厚生の質問の一つとして「労働組合はないのですか?」と聞いた時の当時新進気鋭のコンピューター会社(今は破綻して影も形もナイ会社でーす)の人事の反応のスゴさに、「組合って嫌われてるんだ。」と痛感した記憶があります。
会社で働くことの、何に重きを置くかそれは各個人の自由と思います。社則に反する行為や言動は慎まなければなりませんが、基本的に与えられた仕事をして、お金を貰う為にお勤めする。ただそれだけでは(人生の大半の時間を過ごすから)ないと思うし。大きな会社になればなるほど従業員の声は聞こえ難くなるから会社と従業員の関係も複雑でしょう。
行天(三浦友和)の様に出世と私利私欲が会社の為と思っている人もいれば、八木(香川照之)の己を捨てても一矢報いるタイプもいるし。
いろいろ社会人として大人として考えさせられ、生き方を考えさせられるいい作品でした。
まぁ、とにかく役に役者さんたちが入り込んでて、柴俊夫さんの堂本社長なんて憎たらしくってもう柴さんに見えなかったです。役者ってスゴいですよね、山崎作品のパワーのせいでしょうか。
私は女性なので、また働いていても、出世欲もなく有期限の専門職のせいか会社を支えたいとか育てたいという欲望もないので、恩地や仰天の気持ちは計り知れない部分が多かったです。でも、やはり恩地さんの気持ちが一番よく解ったかしら。ただより親近感を覚えたのは、同じ女性達の気持ち。夫を支えるキャラでも子持ちでもないけど、恩地の奥さん・りつ子さん(鈴木京香)に共感を覚えました。悪いけどスッチーの三井さん(松雪)にはちっとも、な~にも感じませんでしたね、不倫って・・・愛人って。情けないし寂しい。“女”としてはそういう生き方もあるかな、とか思うけど、置かれた環境と立場を考えたらさっさとそんなコト止めるべきだったでしょうに。せっかくキャリアーなのに。そんな風に思うのは雇用均等法の下で働くことの出来た世代の自分だからかもしれませんが。
「劇中の固有名詞や人物はすべて架空」と注釈がありますが、誰がどう見ても“あの”航空会社の話。
もう数年前なら映像化出来なかった(影響力がデカ過ぎたろう)でしょうね、いま日本国、大企業が弱体化している今こそ映像化してなにかしらの警鐘となるであろう、と思いました。
それにしてもジャンボが墜落して遺族の悲しみや苦悩、何回見ても辛く涙が出ました。
あんな事故は兎に角絶対もうあってはなりません。
話の内容は楽しくて仕方ないものではないので、苦手な方も多いでしょうが、俳優の心意気というか演じるパワーを感じるだけでも観るだけの価値があるのでDVD化されたら、じっくり観て欲しい作品です。
「沈まぬ太陽」@ぴあ映画生活
by bijomaru0330am | 2009-12-08 23:45 | 映画鑑賞